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最近読んだピーター・フランクルさんの本(「美しくて面白い日本語」)の「目くそ鼻くそを笑う」ということわざについての項で、著者のピーターさんは「Comparison is no reason.」という英語のことわざを挙げて、比較することはよいことではない、と主張している。この英語のことわざは知らなかったが、ピーターさんの解説によれば「比較は理由になりません」という意味だそうだ。

文脈のないあまりに単純な構造の英文なので、このことわざにどういう教訓や寓意があるのか英語母語話者でないわたしにはよくわからない。「There is (you have) no reason to compare yourself with others.」というような意味なのかなと想像した。

子どもが親に携帯電話をねだるときに「クラスのみんな持っているんだから」というのは理由にならない。クラスのみんなが持っているということと自分にそれが必要かどうかは別の話だ。そういう教訓だとしたらとてもよく納得できる。

日本人は他人と同じでありたいという気持ちがとても強いと思う。まあ、日本人以外のことはあまり知らないから他国の人と比較できないが、日本人のひとりとしてそう思う。

わたしの子どものころはどこかのうちがピアノを買えば向こう三軒両隣がぜんぶピアノを買うなんていうことが実際にあった。また、若者は、自分が好きだからというよりも周りがみんなやっているからという理由で、洋楽を聴く、オーディオセットを買う、借金してでも自動車を買う、ということをしていた(ようにわたしには思われた)。

わたしはへそまがりだからそのどれもやらなかった。最近は若者が車離れしていると聞くが、そんなの当たり前じゃ、必要なひとが買うのはいいけれど、ファッションやステータスシンボルとして車を買ってんじゃないよ、ふだんはエコエコいっているくせに、と意地の悪いことを思ってしまう。

日本人は自分と他人を比較して嫉妬する気持ちも強い。同期入社の彼は部長なのに自分は平社員だとか、自分は 1 円でも安いスーパーを探して買い物する生活をしているのにカップめんの値段も知らない生活をしているなんてずるいとか。一般人を有名人に仕立て上げた後で過去や現在の行状を曝露して貶めることでカタルシスを提供するマスコミ報道なんかも日本人の嫉妬心を利用している。いやらしいし、あほらしい。

キリスト教徒ではないけれど「おれはあいつほど嘘つきじゃないから天国に行く資格があるはずだ」という主張には意味がないだろう。それは自分と神との問題であって他人との比較の問題ではない。日本ではたとえばキリスト教徒のように他者との比較を必要としないでものごとを判断できる基準をもっているひとが少ないのだと思う。

自分は自分、他人は他人だ。自分の価値は、他人と比較することではなく、もっと別の絶対的基準で測ればよいではないかと思うのだが。
コメント
この記事へのコメント
よくぞ言ってくださいました。人と同じでいれば安心だ、という感覚が私にはよくわかりません。むしろ人と違うことにこそ自分の存在の意味を感じて一匹狼的な生き方をしてきましたが、おや、これも人と比較している、という自家撞着に陥っているってことですかしら?
2009/01/13(火) 14:09 | URL | 沈丁花さん #m9.eh7ss[ 編集]
他人と同じでいれば安心という気持ちは、わたしは理解できます。
ただ、そういう気持ちを無批判に優先させていると公正な判断ができなくなるような気がします。「出る杭は打たれる」ということわざの表すような優秀なひとの足を引っぱろうとする傾向(嫉妬)とか、子どものいじめや仲間はずれのような行為は、「他人と同じでいれば安心」という気持ちの裏返しで、他者と違うことをしているやつはなんだか気に入らない、という不公正な理由で何の非もない他人を排斥する行為なのではないかとわたしには思えるのです。
2009/01/13(火) 15:40 | URL | たんご屋 #Qhkulfr2[ 編集]
ピーターフランクルさんの本は読みやすくて私も好きです
Comparison is no reason.
で検索したら検索結果でトップでした

他の著書でしたが他人との比較はどうでもよく、一番気にかけるべきは昨日の自分との比較だとおっしゃってました。
2014/10/19(日) 00:40 | URL | 花 #-[ 編集]
すばらしい言葉ですね。フランクルさん自身がそう思っていらっしゃるということですね。ご紹介どうもありがとうございます。
2015/08/20(木) 09:33 | URL | たんご屋 #-[ 編集]
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