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こだわりの逸品」「こだわりの宿」「料理長のこだわり」のような表現がよく使われている。年配のひとの中には、「こだわり」ということばはもともと悪い意味だったはずだからよい意味で使うのはおかしいというひともいるようだ。

たんご屋は決して若いとはいえない中年男だが、「こだわり」をよい意味で使うことにあまり違和感はない。よい意味でも悪い意味でも、何かに拘泥、固着することを「こだわり」というのだろうと思っている。

小学館の類語例解辞典で「こだわる」を引いてみると、類語として「かかずらう」「拘泥」、関連語として「かまける」という語が載っており

「こだわる」は、否定的な評価と積極的な評価の両方に用いられる

とある。この解釈はわたしと同じである。

しかし、「ハイブリッド新辞林」「広辞苑 第四版」では「こだわる」をそれぞれ

ささいなことに心がとらわれる(新辞林)
気にしなくてもよいような些細なことにとらわれる(広辞苑)

と説明しているので、悪い意味で使う語だとしているようである。

さきほどの「こだわりの逸品」のような表現をおもしろいと思うのは、「何にこだわるか」が問題にされていないことだ。つまり「こだわりの逸品」というだけで「何にこだわっているのかはわからないしどうでもよいけど、なんとなく高級そう」という意味になっていると思われる。

もともとの意味はどうでもよくて印象だけで使われているという意味では「グルメ」ということばもそれに似ている。グルメ(gourmet)はもともと食通、食道楽、美食家といった意味のはずだが、昨今では「おいしいもの」とか「食べること」という意味でも使われている。「北海道グルメを食べに行こう」のように北海道の美食家がぞっとするような使われかたもある。

英語の辞書でも「こだわり」を調べてみた。

ランダムハウス英語辞典

hang-up
n.
【1】俗;こだわり,コンプレックス.

なるほど、「こだわり」とは「コンプレックス」か。そうすると「フェティシズム」も一種の「こだわり」といえるのかもしれない。

研究社新和英大辞典

こだわり
n. a prejudice 《against》; adherence 《to》.

prejudice は「先入観」という訳語でよく知られている。たしかに、たとえば「食わず嫌い」などは、食べものの嗜好についての意味でも比喩的な意味でも、「こだわり」であり「先入観」でもある。

追記:
「こだわりの逸品」のような「こだわり」は辞書にはもちろん載っていないが、「おすすめ」という意味だろうから the special とでもいえばよいのだろうか。
コメント
この記事へのコメント
たんご屋さん おはようございます。「こだわる」ときき私の頭に最初に浮かんだ英単語は、先入観より一歩踏み”obsession”「脅迫観念」でした(笑)一対一の会話などでyou know I'm obsessed with ~とかyou know my obsession for~ 冗談ぽく使っていた気がします。耳から覚えた単語はどこか曖昧でもしかしたら誤用だったかもしれませんが・・・。食べ物に対しては、picky about (何かと)「好みがうるさい」・・ぴったりという気がしますが、如何でしょうか?
2007/06/29(金) 10:28 | URL | のら #-[ 編集]
なるほど、obsession、obsessed は「こだわり」「こだわる」という意味でよい意味でも悪い意味でも使えそうですね。辞書には載っていない訳語なので、のらさんに指摘していただかないと思いつかなかったと思います。どうもありがとうございます。preoccupation、preoccupied なんかも同じように使えますかね。
picky about ですか。これは主に悪い意味で使われるのではありませんか。海原雄山のように「(食に)こだわる」場合でも使いますか。ちょっと調べてみたら、particular about はよい意味でも使うようですが、こちらはいかがでしょう。
2007/06/29(金) 11:01 | URL | たんご屋 #Qhkulfr2[ 編集]
ちょっと前まで、「こだわり」は悪い事について言うんだ!と後輩を説教していました。最近は、そんな「こだわり」はなくなりましたが。

英語表現については、selective とか choicest といった単語が使えるケースはないかな、と考えました。ちょっとムリかな?

obsession と似たものとしては、idee fixe なんてものもありますが、日常生活で使うような単語ではないようにも思います。
2007/06/29(金) 17:29 | URL | 子守男 #SHLDkvn6[ 編集]
いえいえ、わたしも中年おやじで若くはないのですけれど。若いひとの使う日本語の中には「それはちょっと…」と思うものもありますが、「こだわり」はわたしにとってそういう語ではありませんね。
selective と choicest は「こだわりの逸品」の「こだわりの」に使えるかもしれないということでしょうかね。selective(または select)はわたしの仕事の原稿にもたまに出てきますが、「選り抜きの」というような語感があって、たしかに「こだわり」に近いのかもしれませんね。
idee fixe は知りませんでした。フランス語ですか。さすがは子守男さん、むずかしいことばをご存じですね。でも、おっしゃるとおり、「こだわり」という和語の語感にはならないかもしれませんね。

追記:
失礼しました。あらためて selective を辞書で引いてみましたら、"When someone is selective, they choose things carefully, for example the things that they buy or do." という意味があるのですね。そうか、これはよい意味で「こだわりがある」というのにぴったりの表現かもしれません。どうもありがとうございました。
2007/06/29(金) 19:51 | URL | たんご屋 #Qhkulfr2[ 編集]
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前回の「こだわり」についての記事にのらさんからとても勉強になるコメントをいただいたのでご紹介する。米国留学経験のあるのらさんは日本語の「こだわる」を be obsessed with というふうに表現なさっていたとおっし
2007/06/30(土) 09:04:01 | たんご屋本舗
以前書いた「こだわり」という語についての記事で、「こだわり」の英語表現としてのらさんから picky、子守男さんから selective、choicest という単語をご教示いただいた。これらの単語についてまとめてみる。「こ
2007/07/01(日) 19:07:43 | たんご屋本舗
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