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故芦屋雁之助さんは「わて雁之助だす」と言っていた。また、人気番組「探偵!ナイトスクープ」の司会をしていた上岡龍太郎さんは「わたし局長の上岡龍太郎です」と言っていた。

「わて雁之助だす」と「わて雁之助だす」は、どのように意味が違うのだろう。

今週月曜日に放送された「NHK知るを楽しむ」の「この人この世界 日本語のカタチとココロ」第6回「『ある』と『いる』にはルールがある」では、金田一秀穂さんが「は」と「が」の違いについて取り上げていた。秀穂先生によれば、「『が』には必ず大切な言葉が前に来るというルールがある」「『は』は、大切な言葉が必ず後ろに来る」そうである。

「私は金田一です」と「私が金田一です」はどう違うか、というのも同じことです。「私は金田一です」と言うときには「私は誰なのか」、つまり「金田一」が重要な言葉になります。ですから「は」の後ろに「金田一」が来て、旧情報である「私」が前に来ます。
一方、「誰が金田一か」の答えである「私が金田一です」では、「が」の前に大切な言葉である「私」が来ます。このときの「金田一」は旧情報、つまりすでに知られていることなので、「が」の後ろに来るのです。
(「日本語のカタチとココロ」テキスト p.100 より)

つまり、「わてが雁之助だす」は、Who is Gannosuke? の回答である I am (Gannosuke). に対応し、「わては雁之助だす」は、Who are you? の回答である (I am) Gannosuke. に対応するのだなと理解した。

古い話だが、スポーツニュースの見出しに「安藤美姫が初優勝、浅田は銀」というものがあって、この「が」と「は」はどう使い分けられているのかいうことを日本語学習者の ゆ さんが書いていらっしゃった。

秀穂先生の説明にならえば、「安藤美姫初優勝」というのは Who won the championship? の回答としての Ando did. に対応する表現であり、「浅田銀」というのは How was Asada? の回答としての (She won) the second place. に対応する表現だと考えられる。

追記:
もちろん雁之助さんや上岡さんの「が」の使いかたは本来の使いかたではない。自己紹介のとき、相手は自分の顔はわかっているが自分の名前は知らないのだから「は」を使うのがふつうである。彼らは、わざと違和感のある言いかたをすることで諧謔味を出しているのだろうと思う。


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コメント
この記事へのコメント
はじめまして、こんにちは。以前から興味深く拝見させていただいておりました。

「は」と「が」についてですが、金田一秀穂先生のルール分かりやすいですね。
大野晋先生の書かれた『日本語練習帳』という本にも、ハとガについての言及があったのですが、ハの働きの一つ目として、以下の記述がありました。
>問題(Topic)を設定して、下にその答えが来ると予約する(同書48ページ)
学生時代に読んだ本なのですが、こちらの記事を読んでふと思い出し、引っ張り出してきて読み返してしまいました。

>「安藤美姫が初優勝、浅田は銀」
以前この話題が出たときにも、こちらのブログ(だったか ゆ さんのブログだったか忘れましたが)を拝見していたのですが、ハとガを紐解くと、結果を伝える表現から大会前の期待度や評価などがうかがえておもしろいと感じたことを思い出しました。
私がこの短文から読み取ったのは、
「大会前、優勝するのはおそらく浅田だろうと誰もが思っていたが、蓋を開けてみると、優勝したのは期待されていた浅田ではなく、(優勝の期待がそれほどなかった)安藤だった。そして、その期待されていた浅田はというと、2位だった」
と、こんな感じです。
実際のスケート界のことや、安藤、浅田両選手の大会前の評価・評判といったものに明るくなくても、結果を伝えるあの一文で、ある程度の前評判までもがうかがえてしまう。
普段から意識して使っているわけではないですが、こうして取り出して考えると、日本語の助詞の持つ働きの大きさを感じずにはいられません。

長々とすみませんでした。
英語については門外漢なのですが、日本語も含めて言葉に興味があるので、こういったブログを拝見すると「ほぉ」とうなってしまいます。
これからも期待しております。
2007/07/12(木) 17:01 | URL | 青井 #-[ 編集]
金田一秀穂先生のルール、覚えやすいですね。
そういえば、言語学の授業で「象は鼻が長い」と「象の鼻は長い」の違いは?というのを勉強しました…結論忘れてしまいましたけど。これもそのルールで説明できるのではないかと思いました。

私はその番組を見ていないのでタイトルの「『ある』と『いる』にはルールがある」というのもどういうルールか気になりました。やはり言語学の授業で「バスがいる」と言えるか?という質問に、私は「言えない」と思ったのに、教授も含めて「言える」と言った人がけっこういたので…。言えるのでしょうか?
2007/07/12(木) 20:44 | URL | ぐうたらぅ #h2gwSyWs[ 編集]
はげましのおことば、どうもありがとうございます。
「日本語練習帳」に何が書いてあったかまったく覚えていませんでしたので、わたしもさっそく引っぱり出して見てみました。「は」と「が」についてけっこう長く説明していたのですね。この部分だけでも読み直してみようと思います。どうもありがとうございました。
安藤選手と浅田選手の件は、おっしゃるとおりの状況だったと思います。たった一文字で深い内容を伝えることのできる日本語の助詞のはたらきは本当にたいしたものですね。
これからもどうぞよろしくお願いいたします。
2007/07/12(木) 22:33 | URL | たんご屋 #Qhkulfr2[ 編集]
わたしは系統だって言語学を学んだことがなく自分がおもしろいと思ったことを書いているだけなので学問的なことはよくわかりませんが、「象は鼻が長い」というのは三上章さんの主題提示の話でしょうかね。この記事で書いた「浅田は銀」についてはそのような説明でも可能なような気がします。というか、秀穂先生がおっしゃっていることも、それをふまえたことだろうと思います。
「ある」と「いる」についてですが、申しわけありません、ここで説明すると長くなりすぎます。「日本語のカタチとココロ」のテキストをぜひごらんください。なお、番組は来週月曜日の早朝に再放送があります。

追記(2007/07/13):
「ある」と「いる」について新しく書きました。
2007/07/12(木) 22:51 | URL | たんご屋 #Qhkulfr2[ 編集]
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