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あるソフトウェアの説明書を翻訳していたら In previous versions, ... という文が出てきたので、深く考えずに「これ以前のバージョンでは…」と訳そうとした。

そしてすぐに「あれ、おかしいかな」と思った。もしかして「以前」というのは基準の時点も含むのではないだろうか。つまり、「これ以前のバージョン」が「このバージョン」も含むということになると誤訳になってしまう。previous という英単語は現在のものを含まないからだ。

訳としては「過去のバージョン」「古いバージョン」「これより前のバージョン」などいくらでも言い換えようがあるので問題ない。しかし、実際のところ、「以前」は基準の時点を含むのか含まないのか。辞書では次のようになっている。

い‐ぜん【以前】〘名〙
(1)基準となる時点や期間を含んで、それより前。また、ある出来事などを境界として、それより前。「五日─に仕上げる予定だ」「明治─からある風習」「役者になる─は教師だった」⇔以後
基準の数値を伴う場合は、それを含むと規定される。数値を伴わないでいうときはあいまい化しやすいが、「ルネサンス期─の作曲家」というと、それより前の〈古代・中世の作曲家〉を指すことが多く、「ルネサンス期以後の作曲家」というと、それを含んで後の作曲家を指すのが一般的。
(明鏡国語辞典)

い‐ぜん【以前】
(1)それより前。その前。「室町時代―の作」「常識―の事柄」⇔以後。
(広辞苑 第六版)

明鏡国語辞典は「基準の時点を含む」、広辞苑は「基準の時点を含まない」という意見のようだ。

「以上」と「以下」では基準の値も含まれることがよく知られている。それから類推する人がおそらく多いだろうから、「以前」「以後」「以降」は基準の時点を含むと考えたほうが安全かもしれない。

その点、英語ははっきりしている。on or before という表現があるくらいだから before は基準の時点を含まないはずだ(と思う)。
コメント
この記事へのコメント
文系人間である私の個人的な感覚ですが、「これ以前のバージョン」と聞いたら「このバージョンも含む」とはまず考えません。しかし具体的な数字があれば別なので、面白いものです。「明鏡」の説明は「なるほど」と思わされました。

こうしたあいまいさは英語にもありますね。from Monday to (till) Saturday とすると、土曜日が含まれるかどうか見方がわかれるので避けたほうが無難、inclusive を補うか前置詞を through にせよ、と学んだことを思い出しました。
2008/02/17(日) 11:01 | URL | 子守男 #SHLDkvn6[ 編集]
おっしゃるとおり、「これ以前のバージョン」というとこのバージョンは含まないような気がわたしもするのですが、「バージョン5以前では」というとバージョン5を含むような気がしますね。ふしぎです。

そうなんです。inclusive、through のことはわたしも連想しました。わたしが学んだのは until との組み合わせなのですが。through は米国英語でしたっけ。こういうことは、法律や契約関係の翻訳では非常に気を遣うのでしょうね。
あと、on or around というのもありますよね。あれは、なんと冗長な、と思いました。 日本語なら「ごろ」というのは基準の時点も含むと考えますが around は基準の時点を含まないということなのでしょうね。
2008/02/17(日) 11:39 | URL | たんご屋 #Qhkulfr2[ 編集]
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