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理科系の作文技術
木下是雄 中央公論新社 1981年09月

「理科系の」と銘打っているとおり、論文などを書く研究者や技術者向けの文章指南書である。わたしは理科系ではないが仕事で技術文書を扱うことが多いので読んでみた。

読み終わって、理科系のひとはこれほどまでに精緻な理論に基づいて文章を書いているのかとびっくりした。この本自体が非常に論理的だしわかりやすい。そして、なによりおもしろい。これまで読んだ文章指南書の中で、この本がいちばんおもしろくて実践的だと思った。

著者は、「逆茂木型」の文章は避けるべきだと主張する。「逆茂木」というのは、敵の侵入を防ぐためにとげのある木の枝を束ねた垣のことだ。同じように、文の前半に枝のような修飾節や修飾句がたくさんある文を、著者は「逆茂木型」という。たとえば、次のような文は逆茂木型だ。

大学で物理学を教える木下さんが 1981 年に上梓して以来多くの読者に支持されており、新書判で場所をとらないので常に机上に置いておくことのできる本が、この「理科系の作文技術」である。

あまりうまい例文ではなくて恐縮だが、これはわたしがいま適当に作った文だ。これを、著者の指南にしたがってわたしなりに修正すると次のようになる。

大学で物理学を教える木下さんは 1981 年にこの「理科系の作文技術」を上梓した。以来、この本は多くの読者に支持されている。新書判で場所をとらないので常に机上に置いておきたい。

上の例と下の例を比較すると、下の例のほうがずっと読みやすいだろう。

著者は、逆茂木型の文章が横行するようになった誘因は欧文の下手な翻訳に慣らされて鈍感になったことだろうと指摘している。末端の翻訳者としての経験からいっても、たしかに、学校で習う英文和訳方式ですなおに訳していると上の例のような文になりやすい。自戒せねばと思った。

この本には、これ以外に、段落の考えかた、事実と意見の書き分けかたから、用字用語のことに至るまで詳細な作文技術が書かれている。どれも納得できることばかりだ。著者の主張する作文技術は、理科系の文章だけではなく一般のひとが報告書や提案書などさまざまな文書を書くときにも広く応用できるだろう。

これだけの作文技術をいきなり身に付けることはできないが、座右に置いて折にふれ開こうと思っている。仕事で何か文章を書くことのあるひとは、ぜひお求めになることをおすすめする。


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