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石原都知事:北京五輪開会式の首相を批判 (毎日新聞)

ちょっと古いニュースだが、福田首相が「まあ、頑張ってください。せいぜい頑張ってください」と五輪選手を激励したのに対して石原都知事が「『せいぜい』とはどういうことかね」と批判したという。

広辞苑第六版によれば、「せいぜい」の意味は次のとおり。

せい‐ぜい【精精】
[二]〔副〕
(1)力の及ぶ限り。精一杯。「―努力します」
(2)十分に多く見積もっても。たかだか。「―三日もあれば出来る」

(1)の意味で言ったのだとしたら、福田さんはとくに妙なことを言ったとはいえない。しかし、石原さんは「せいぜい」を(2)のような否定的な含意のある表現として受け取ったようだ。辞書での定義はともかく、「せいぜい頑張ってください」といわれたら、わたしもあまりよい気はしない。つまり、石原さんと同じ語感を持っている。

ところが、和英辞書を見てみるとおもしろいことがわかった。石原都知事の生まれる前、昭和 3 年に発行された辞書の復刻版「New 斎藤和英大辞典」には「せいぜい」の訳語は次のように書かれている。

せいぜい〔精々〕
〈副〉1. (=精いっぱい、なるべく)as much as possible; with all one's might; with might and main; to the best of one's ability; to the utmost of one's power

これは、「できるだけ」「力のかぎり」という肯定的な意味だろう。この辞書の編者である斎藤先生は「せいぜい」をそういう意味だと思っていたようだ。

ところが、比較的新しい辞書、「ビジネス技術実用英語大辞典第4版」では次のようになっている。

せいぜい【精々】
◆at best;〔文語〕at the best; 〔強調〕at the very best 最善[最高, ベスト, 〔意訳〕限度]で(も); せいぜい; たかだか, 精一杯[泣き泣き]やったところで, 関の山で, どう頑張ったところで; 良くても; 一番良く[多く]見ても; どうひいき目にみても

これらの表現は、「よくても」「どんなにうまくやったとしても」という、否定的な意味だ。

つまり、昭和 3 年に辞書を編纂した斎藤先生は「せいぜい」を「力のかぎり」という肯定的な意味だと解釈しており、平成 15 年に辞書を編纂した海野さんは「どんなにうまくやったとしても」という否定的な意味と解釈しているように思われる。これは、時代を経るにつれてこの言葉が肯定的な意味合いから否定的な意味合いに変わってきたということではないだろうか。

いずれにせよ、福田さんは、お国のために実力を超える力を出せ、とはいいたくなかったから、実力を十全に発揮せよ、という意味で「せいぜい頑張ってください」いったのだとわたしは思う。石原さんの批判はちょっと的外れだったかもしれない。
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