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話題になっている麻生首相の漢字の読み間違いのなかで、詳細を「ヨウサイ」と読んだというのは目が悪いとかいう話ではなくて単なる「物識らず」だと思う。「詳細」なんてのはとてもよく使う語で、わたしはこれまでの人生で何万回も遭遇したような気がする。70 年近く生きていてこういう日常的な語の読みかたを知らないというのはどうにも不可解だ。

未曾有を「ミゾユウ」、有無を「ユウム」と読んだともいう。麻生さんは「有」に「ウ」という読みがあることを知らないのだろうと思った。「ユウ」は漢音、「ウ」は呉音だ。漢音は儒学関連や新しくできた熟語によく使われ、呉音は主に仏教関連の語でよく使われる読みかたである。だから、「有象無象」とか「有頂天」のような仏教由来の語は「ウ」と呉音で読むことが多い。「有無(ウム)」というのもおそらく仏教由来の語で、だから「ウ」と読むのだろう。

と思って、調べてみると、「有無(ウム)」が仏教由来だというのはそのとおりだったが、有ると無いという意味では、麻生流の「ユウム」のほうが正しいらしいことがわかってびっくりした。

有無
[1]ユウム
あることとないこと。「楼台明滅山有無=楼台ハ明滅シ山ハ有無」〔→蘇軾〕
[2]ウム
(1) 〔仏〕万物が有に執着するという考え方と無に執着するという考え方。
(2) 〔国〕承知することとしないこと。いやおう。「有無を言わせず」
(漢字源より)


おそらく、「ユウム」と読ませるつもりで「有無」と書かれていても、ほとんどのひとは仏教からきた「ウム」と読むので、事実上そちらのほうが標準的な読みかたになっているということなのだろう。

独擅場(ドクセンジョウ)は「ドクダンジョウ」と読まれて「独壇場」になったし、洗滌(センデキ)は「センジョウ」と誤読されて「洗浄」になった。誤解から始まっても広く使われる状態が長く続けばいずれはその誤解のほうが正しいことになる。
コメント
この記事へのコメント
 独擅場と洗滌のほか、病膏肓(病膏盲)とか、紛らわしい字の間違い(書き間違いが発端?)はありますが、「有無」の場合は同じ漢字に読み方が二通りあるわけで、少し性格が違いますね。
 文書(ぶんしょう、もんじょ、ふみがき、もんぞ)とか、心中(しんちゅう、しんじゅう)、大勢(おおぜい、たいせい)、人気(にんき、ひとけ)、これらと同じ例だと思います。
 ユウムとウムは発音が似ているので、短いウムだけが生き残ったのかしら・・・?
 混乱を避けるためワザと「間違った読み」をすることもありますね。化学をバケガクとか、市立をイチリツとか、施行をセコウとか。一概には言えませんが、ユウムだと、なにか差し障りがあったのかも??
 でも、ウムの方が同音語が多そうだなあ・・・ 

2008/11/18(火) 19:04 | URL | 彩季堂 #/aF5ZJNE[ 編集]
なるほど、そういうことになりますか。
「独擅場」や「洗滌」は「間違って使われることが多ければそのうち間違った読みかたのほうが正しいことになる」という例だったのですが、たしかに構造上は「有無」とは違いますね。
しかし、文書とか心中は現在でも意味によって読みかたが使い分けられていますから、それらも「有無」の例とはちょっと違うと思います。
これはわたしの想像ですが、「有無」の「ユウム」というの読みかたは漢音読みですから、おそらく、儒学者の読みかただったんじゃないですかね。しかしそれはインテリとしてのこだわりの読みかたであり、一般民衆にはあまり普及しなかったのではないでしょうか。
で、「ウム」という読みかたは、お坊さんが一般民衆に説法するときの読みかた、つまり一般民衆にとって聞き慣れた読みかただったんでしょう。ですから、一般のひとたちは、それを書いたひとの意図とは関係なく、「有無」をすべて「ウム」と読むようになり、それが正しい読みかたとして認識されるようになったのではないでしょうか。
そういう意味では、医学用語で「コウコウ」、一般的には「コウクウ」と読まれる「口腔」とか、法律用語で「ケイバイ」、一般用語で「キョウバイ」と読まれる「競売」などが近い例なのかもしれません。
2008/11/18(火) 23:02 | URL | たんご屋 #Qhkulfr2[ 編集]
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