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一昨日、「クローズアップ現代」の「介護つき住宅の落とし穴」という放送を見て、久しぶりに震えるほど腹が立った。また、世間知らずのわたしにはよくわからないこともたくさんあった。

東京都区部に住む高齢者で生活保護を受けている人が介護が必要な状態になった場合に、区役所に紹介されて千葉や埼玉、遠くは茨城や静岡などの他県にある介護つき老人ホームに入る事例が多くなっているという。それらの施設は生活保護と介護保険で住居と介護を提供すると謳っている。しかし、それらの施設は実は無届けの老人ホームで、送り込まれた老人は、狭い部屋に何人も押し込まれる、外出が制限される、本来受けられるはずの介護サービスを受けられない、などの悲惨な目に遭う例が少なくなく、問題になっているとのことだ。

「区役所に紹介されて他県にある介護つき老人ホームに入る」と常識的な表現で書いてみたものの、番組を見るかぎり、本人の意思で当該施設と契約して入居したというよりも「区役所に見限られて他県の無届け老人ホームに捨てられた」というのが実態のようだった。ナイーブすぎるかもしれないが、役所の手続きとしてそんなことが可能なのだろうかといまでもふしぎに思う。

料金を払っているのに契約したとおりのサービスを受けられないというのは詐欺みたいなものだ。少なくとも債務不履行だろう。わたしなら、その施設を民事訴訟で訴える。しかし、契約の当事者はだれなのか、番組ではよくわからなかった。どうも、本人と施設ではなく区と施設が契約しているようにも思える。そうだとしても、介護保険の給付金を受給者の介護サービス以外の目的に使われたのだから、区が施設を訴えることはできないのだろうか。短い番組だからしかたないが、そういう観点での話はまったくなかった。

それらの老人の住民票は東京に残したままになっているそうだ。そのため、本来施設の実体を把握して監視する義務があるはずの行政は、遠距離だったからその義務を果たせなかったと言っている。施設側にとっては行政の目の届かないところで自由気ままに運営できる、区役所にとっては監督義務を果す必要がなく施設や介護だけを他の自治体にある施設に負担してもらえる。施設と役場の両方にとって好都合なしくみになっているのはただの偶然なのか。

老人の住民票を本当の居住地に移せば居住地の自治体が施設を監督できることになるわけだが、そうなると施設のある自治体が介護保険を給付しなければならないのでその自治体の財政が圧迫されて困る。ということで、受け入れ側の自治体の担当者が「住民票を移すというなら老人たちを送り返す」という主旨のことを言っているところが放送されていた。

このあたりもよくわからないことが多い。まず、住民票の移動についてだが、転居したら転居届を出すのは法律で定められた国民の義務ではないのか。それを怠ると過料を取られるはずだ。送った側の自治体も受け入れた側の自治体も老人たちが住民票を移動していないことを知っているようだったのに、なぜそれを黙認できていたのか。公務員には不法行為の告発義務があったんじゃなかったっけ。

また、老人を送り返すと言っている側の主張もわからない。居住移転の自由は憲法で守られている基本的人権の 1 つではなかったか。あんたに来てもらったら困るから帰ってもらうよ、と強制する権利が役場にあるのだろうか。高額納税者にはどうぞきてください、財政に負担ばかりかけるひとはどうかどこかにいなくなってください、というのが役人の本音かもしれないが、そうだとしてもそれは役人としては結果としてそうなったらうれしいと思うことができるだけであって、犯罪者でもない一般人の転入や転出を行政の権限で制限することはできないはずと思うのだけれど。司会者や解説の大学教授にそのことをふしぎに思っているようすがまったくなかったのもよくわからない。

ともかく、番組全体を通して、施設に送られた老人たちが人格のある一個の人間として扱われていないように感じられた。本物の姥捨山でさえ人間を捨てているという意識はあったのだろうと思うが、施設も区役所も受け入れ先自治体も、まるでゴミの処分方法について論じているかのように感じられた。財政、財政というが、社会の最弱者を守らなくて何のための財政か。自治体も財政も住民のためにあるのであって、住民が財政の犠牲になるのは本末転倒だ。生きている人間をお金がいくらかかるかというふうにしか見ないであっちにやったりこっちにやったりしようとするのなら奴隷売買と同じではないか。
コメント
この記事へのコメント
ひどい話ですね。前にテレビであるお年寄りが「一生懸命働いて、戦中戦後を生き延びて、この年になってからこんなひどい扱いを受けるとは想像もしてみなかった。」と、もう怒りを通り越して悲しげにおっしゃってましたが、本当にどうしてこんなことがまかり通るのでしょうか。私などもそう遠い将来のことではないので、よけい切実に思いやられます。世の中全体が、「価値を生まないもの」は隅に追いやってしまう、という傾向になっているのは恐ろしいです。

拙ブログに素敵なコメント、嬉しかったです。
2009/02/07(土) 00:06 | URL | 沈丁花さん #m9.eh7ss[ 編集]
住民票は実質的に生活をしている場所に登録するのが当然ですし、住民票がどこにあったとしても、その住民票のある自治体が生活保護や介護保険を給付するのは当たり前のことだと思うのですが。財政の問題はそれをしたあとで考えるべきことでしょう。
多くのひとはそういう国を望んでいると思います。現実問題として自分が将来にわたって生活保護や介護を受けることがなかったとしても、必要なだれもが正しく受けられるという制度を維持することが自分をふくむ全員の安心を守るわけですから、けっきょく、他人の問題ではなく自分の問題です。まさに、遠い視線が大切です。
役人がこういう言動にでるのは、責任回避や自己保身、セクショナリズムばかりを考えていればよいという官僚主義が原因なのでしょうね。人間を人間として見ることさえしなくなるとは、官僚制とはおそろしいものだと思います。
2009/02/07(土) 06:48 | URL | たんご屋 #Qhkulfr2[ 編集]
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