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インターネットの掲示板やブログを見るようになって「卑下」という言葉をよく目にするようになった。わたしにとって「卑下」は日常ほとんど使わない言葉で、使うとしても「自己卑下」という熟語で使う。そして、その「自己卑下」の意味、つまり「謙遜」に似た意味しか知らなかった。ところが、インターネットでは、相手を侮蔑、侮辱するという意味で使用していることが多い。初めてそういう使いかたを見たときは、なんのことだか意味がわからず混乱した。

Google で「相手を卑下する」をフレーズ検索してみると、1870 件ものサイトが見つかる。

新辞林では「へりくだること。謙遜すること」という語義になっている。これはわたしと同じ認識。ところが、広辞苑では、第一語義として「へりくだること。謙遜」、第二語義として「いやしむこと」となっている。つまり、広辞苑の第二語義であれば、見下げる、侮辱するというような意味で「卑下」を使用してもおかしくないことになる。

とはいえ、小学館のランダムハウス第2版では、卑下は、humility、modesty、stoop の訳語になっているし、研究社のリーダーズでは deprecation、self-abasement、self-contempt、self-deprecation、self-humiliation などの訳語として使われている。これらはすべて謙遜、謙虚などの意味であって侮辱の意味ではない。

さらに、斎藤和英大辞典では「卑下」の訳語は次のようになっている。この辞書は昭和3年に刊行されたものの復刻版だから、かなり古い時代の認識を反映していると考えてよいと思う。
Self-abasement; self-depreciation; self-effacement; humility:
(=する) to humble oneself; to depreciate oneself; to abase oneself; to efface oneself; to think meanly of oneself
斎藤先生も、卑下とは「自己を卑下する」「相手に対して自らの価値をわざと下げる」というような意味だと考えておられたようだ。

やはり、「卑下」という言葉はもともと「謙遜」というような意味で使われることが多かったのではないかとわたしは思う。それが「侮辱」の意味でよく使われるようになっている(と少なくともわたしには思われる)のは、インターネットの影響が大きいのではないだろうか。「嘲る」「蔑む」「卑しむ」といったやまとことばよりも「卑下する」のような漢語のほうが中立的で冷静な感じがして使いやすいのかもしれない。
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