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ひとには門はないのだから「コーチの門を叩く」は誤用ではないかという考えかたがあるようだ。広辞苑第六版では次のようになっている。

もんをたたく【門を叩く】
弟子入りを願って訪れる。「名優の―」

たとえば、「王選手は荒川コーチの門を叩いて一本足打法を開発した」とか「長谷川町子は若くして田河水泡の門を叩いた」とかいう言いかたは別におかしくないとわたしは思う。この場合の「門」は物理的な門扉のことではなくて一家をなしたひとが弟子を受け入れたり追い出したりする境になる象徴的な「門」なのだろう。だから、「入門」を許されたひとたちは「門人」あるいは「門下生」になる。もともとは仏教あたりから来たことばではなかろうか。

もし誤用というのなら、「医者の門を叩く」「ハリウッドの門をたたく」「ハローワークの門を叩く」という言いかたのほうだろう。これらはいずれもネット上で見つけた表現だが、上記のように解釈すれば、それぞれ、医者の卵が高名な医師に指導を乞う、指導を受けにハリウッドに行く、ハローワークに弟子入りを志願する、というような意味になると思われる。しかし、実際には、それぞれ、治療を受けに医者に行く、ハリウッドに進出する、仕事を紹介してもらいにハローワークに行く、という意味で使われていた。やはりある種の比喩として使われているとはいえ、象徴的な「門」というよりも、物理的な門扉により近い意味で使われているようだ。

これは「敷居が高い」の意味が広くなってきているのと似ているなあと思った。またまた広辞苑第六版から引用する。

しきいがたかい【敷居が高い】
不義理または面目ないことなどがあって、その人の家に行きにくい。敷居がまたげない。

だから、「親に借金をしてから敷居が高くなって帰省できなくなった」というような使いかたが本来だろう。しかし、実際には、「あの店は高くて一般庶民には敷居が高い」とか「精神科はまだまだ敷居が高い診療科だ」とか「外国人には敷居が高いと見られている私立名門校」のように、辞書の語義とは違う意味で使われることが多い。もともとは心理的な抵抗感を象徴していた「敷居」が、ハードルのような物理的な障害物により近いものとして認識されるようになってきているのかなと思う。
コメント
この記事へのコメント
勉強になりました。広辞苑の説明も、明快でいいですね。

英語のイディオムも、辞書に出ている本来の意味から、より広い意味や違う意味で使われるようになってきているものが多いのに、最近よく気付きます。
2009/07/07(火) 10:37 | URL | Applecheese #xbh23Phc[ 編集]
英語もそうなんですか。なにも思いつきません。
わたしが英語のイディオムをあまり知らないからでしょうね。もっと勉強します。
2009/07/07(火) 19:38 | URL | たんご屋 #Qhkulfr2[ 編集]
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2009/10/03(土) 16:48 | | #[ 編集]
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